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アメリカの過剰債務(住宅ローン残高を可処分所得で割って、従来の傾向線を上回っている金額)は、○年末時点で3兆8000億ドルです。 そのうち約1兆3000億ドルが不良債権ですから、返済できないものとしてカウントしないとすると、残りの2兆5000億ドルを、アメリカ国民は消費を落としながら貯蓄率を上げ、その貯蓄で返していくことになります。
それには丸々5年はかかるでしょう。 つまり、実体経済の不況は、最低でも5年間は続くことになるわけです。
それだけでは終わりません。 中産階級がまだ元気なら、また需要が出てくるでしょう。
不況のまま5年もすぎると、家を購入できない人たちが増えていることが考えられ、景気をリードしていくような個人消費の回復は困難です。 従来から、アメリカの景気が個人消費主導で回復していくときには、必ず住宅ブームを伴っていました。
確かに住宅価格は3年ほどのちには底を打っているでしょう。 消費者にとっての、いちばん大型の支出は住宅と自動車なので、不況だと思えば、まずそれを切り詰めます。
少し景気がよくなって、住宅を購入しようとするときには、サブプライムローンを強引ともいえるやり方で貸し付けていた時期とは異なり、今度は頭金を用意しないと銀行は実体経済の不況が5年間続くということを別の角度から言い換えると、アメリカ経済は将来の5年分の需要を先取りしてしまっていたということです。 アメリカのGDPに対する個人部門(住宅投資と消費を含む)の比率は、ピーク時貸してくれないはずです。
すると、住宅はなかなか買えなくなります。 実際、サブプライムローンを組んでいた消費者が、3年後には急に収入が増えるなどして、頭金を蓄えていることはあまり想像できません。

もちろん、自動車も同じで、買いたくても融資基準でひっかかってしまうでしょう。 いくら消費を切り詰めるといっても、食料品や衣類などの生活必需品への出費は、無理に削減はできません。
その購入に例えばクレジットカードを使おうとしても、金融機関の審査は同じように厳しいままですから、そこでも苦しめられます。 もはや、アメリカは個人消費主導の景気回復はできなくなったといえます。
2005年4〜6月期には○%をつけました。 過去の平均値(1974〜○年)は○%を中心にして、上下ほぼ1%の範囲で行き来し、○〜○%の範囲内に3分の2の確率で収まっていました。
ところが、○年ごろから従来の天井を抜けて、あっという間に○%にまで上がったのです。 その上がった幅と時間をもとに総額を計算すると、3兆5000億ドルほどになります。
実は、その金額は先ほどの過剰債務とほぼ同じです。 つまり、地価の上昇を担保に可能な限り借り入れして、それを住宅投資と消費に全部回していたことが鮮明にわかります。
今後、過剰消費の調整が始まるということは、GDPに対する個人部門の比率が低下することにほかなりません。 個人部門比率の中心値○%に戻るときが、ほぼ先ほどの過剰債務から不良債権1兆3000億ドルを引いた残りである2兆5000億ドルを返し終わるときになります。
それが5年先と予想され、ここでようやく先取りしていた消費に追いつくことになるのです。 本当にそれが5年先かどうかは、この下げ幅と時間に関係しています。

消費を控えれば貯蓄(返済)が増えるわけですが、貯蓄率をあまり上げたくない、もう少し消費をしたいと個人が選択すれば、その分、中心値○%に戻るのが遅れ、不況からの脱出が6年、7年と先延ばしになっていきます。 逆にアメリカ国民がみんなで耐えて貯蓄により多くを回せば、時間が短縮し、不況脱出のタイミングが早く近づいてきます。
それではいわゆるハードランディングとなって、消費の落ち込みがあまりに激しく、経済に大きなダメージを与えてしまうでしょう。 したがって、アメリカ国民がどのような形で生活水準を落とすことができるかに、今後の世界経済の先行きはかかっているともいえるわけです。
最後に、アメリカ以外の住宅バブルにも触れておきます。 グローバル化の進んだ世界経済では、住宅バブルは1国だけで起こるものではありません。
アメリカで起きていた住宅バブルは、世界各地で同様の住宅バブルを引き起こしていました。 例えば、1980年代後半の日本の不動産バブルを考えると、今回のような世界規模の住宅バブルは起きていませんでした。
日本は変動相場制の導入以降、金融自由化を少しずつ進めていましたが、国際資本移動が制約されていたため、日本の貯蓄は日本国内だけで運用され、国境を越えてほかの国へ移動されることは基本的にありませんでした。 当時、日本の貯蓄は膨大な額に上っており、その貯蓄が使われる形で不動産バブルが起こり、大変な好景気となります。
○年代のアメリカはすでに貯蓄不足でしたが、日本の好景気ぶりを見て、仮にアメリカが自国でも日本のお金を使って同様のバブルを起こしたいと思ったとしても、国際資本移動の制約があるため、不可能だったわけです。 ○年以降になると、グローバル化が進み、資本が自由に移動するようになり、いままで貯蓄などの形でそれぞれの国にとどまっていた資金が、国境を越えて動くようになります。
バブルが崩壊した○年代に、投資先に悩んでいた日本からはもちろんのこと、アジア通貨危機以後はASEANを中心とするアジア諸国からも、資本がアメリカへもたらされるようになり、それがITバブル、住宅バブルへとつながっていったのは、すでに見た通りです。 金融資産の価値でいうと、貯蓄としてそれぞれの国にとどまっているときは、GDPの6、7%程度にしかすぎません。
アメリカに投資されると、投資銀行などによってレバレッジがかけられ、何十倍にも資産が拡大し、しかも、それを担保にして借り入れた資金が、外国への投資に使われていきました。 例えば、ヨーロッパにその資金が流れ込むと、それぞれの国で住宅価格が上がり、次にヨーロッパの投資家たちは価格の上昇した住宅を担保にしてお金を借り、アメリカへ投資する。

同様にアジアの国々にも資金が流れ、それぞれの国で住宅バブルを誘発していくようになったのです。 こうして○年代以降、ほぼ世界中で住宅バブルが起きましたが、恐ろしいのは、世界の住宅価格の平均上昇率のほうが、アメリカの住宅価格の上昇率よりも高かったという事実です。
住宅価格の上昇率はこの○年でアメリカが2倍、南アフリカが4.9倍、アイルランドが3.4倍、イギリスが3.1倍、スペインが2.9倍となっています。 これらの国々でも○年末から住宅価格は下落に転じています。
資本の移動は自由ですので、その国の経済規模を超えてお金が流入することもあり、そうすると資産価値はいっそう急激に高まります。 その極端な例がアイスランドだったといえるでしょう。
外国からGDPを超えるほどの大量の資産が入ってきた結果、アイスランドの大手3行の資産は合計1500億ドルと、同国のGDPの8倍に達しました。 経済規模に比べて流入額が多い国はそれだけ流出額も多くなり、経済に大混乱が起きたわけです。
いままでレバレッジをかけて資産・負債を外貨建てで膨らませていた投資家が、今度はデレバレッジ(てこの解消)することで、お金の流れが逆流してしまったのです。

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